皆さんは悲しい音楽は好きでしょうか?
私がピアノを弾くことに興味を持ち、楽譜を読み鍵盤を叩くようになったのは中学生の頃でした。家に置いてあった当時もうすでに古くなっていた電子ピアノの前に座り、初めて買った楽譜にならい白鍵を押す。耳に馴染んだTVゲーム音楽のメロディーが聴こえたことに小さな感動を覚えました。
音楽には数多くの規則や性質があります。音楽の性質を解読する試みの起源は古代ギリシャの数学者ピタゴラスまで遡るそうです。それから何世紀という時間をかけ、人は音の秘密を探しだし、積み上げてきました。
その性質の根幹の一つにコード、和音があります。相性のいい音を組み合わせると心地よい響きがするのです。たとえばドミソの音を同時に鳴らすと明るく、整った響きになります。ところがミの音を半音下げた左隣の黒鍵に置き換えると、今度は整ってはいますが暗い、物悲しい響きがします。
次に音階、スケールについてです。低いドから高いドまで順に一つずつあがるように弾いていくと誰もが知るあの音階ができ上がります。それでははじめの音をドより2つ下のラの音にしてみましょう。するとやはり、暗くて物悲しい響きになるのです。
そこに、私がいつも疑問に思うことがあるのです。
なぜその響きを明るい、または暗いと感じるのか。
悲しい音楽は心のつらい部分に共鳴し、感情にダイレクトにとどいてきます。明るい音楽もまた気持ちに触れ熱を持たせます。
この現象は人が生まれ持った本能のどこかに起因するのか、それともただの文化的な「すりこみ」によるものなのか。諸説あるようですが科学的に断定はできていないようです。
私は前者であって欲しいと思っています。だってすりこみ説って余りに味気ないと思いません?
でも同時にどれが正解なのか真相は謎のまま、というほうがロマンチックで素敵じゃないかとも思うのです。
つらいとき、短調の曲に心を委ねて深い水の中を沈んでいくみたいに力を抜いてみたら、つらさの中に少しばかりでも解放感を得られる気がしませんか?私はそんな音楽がとても好きです。
ときには悲しい音楽に思いきり身を浸して、癒されてみてはどうでしょうか?
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